カレンダー
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
フリーエリア
最新CM
最新TB
ブログ内検索
アクセス解析
アクセス解析
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ちょっと思いついた。
何となく、ワンフレーズ思いついたのに、そのワンフレーズが思い出せないという罠←
そんなわけで、軽く書いてみます。
何となく、ワンフレーズ思いついたのに、そのワンフレーズが思い出せないという罠←
そんなわけで、軽く書いてみます。
セイがカヤシマを好きになったと聞いたのはついこの間のこと。そして、セイは真剣な顔をして俺のもとにやってきた。
「それで、カヤシマに告ったのか?」
俺が尋ねると、セイは小さく頷いた。セイの話を簡単にまとめると『セイがカヤシマに手紙を書いて、カヤシマを呼び出して、告白した』って事だ。そして、セイは告白し終えた後、何故か俺のもとにやってきて、今に至る訳だ。
「へぇー、お前、そんな出来るようになったんだな!」
俺はセイの肩を叩く。セイの小さな体が不安定に揺れた。「ちょっ、ちょっと」
「そんなに叩かないでって」
「ああ、ごめんごめん」
いつも叩くとセイはちょっとだけ不機嫌そうな顔をする。そんなに叩かれるの嫌かな、けれど叩く方は楽しいからやめるつもりはない。まあ、昔に比べたら優しく叩いてると思うけど。
「で?カヤシマの返事はどうだったんだよ?」
からかうように俺は言う。実際、からかっているのだが。大体、あのセイが女に告白する時点で、俺としては面白いネタになる。俺が言った後、しばらくセイは沈黙していた。
「う、ん」
何を言っているのか、理解できなかった。
「え?それって」
セイがまた小さく頷く。
「『嬉しい』って言われた。カヤシマも、俺のこと、好きだって」
セイの頬が赤くなったのを俺は見逃さなかった。
「そうなんだ。それ、両思いってやつじゃねぇか!」
俺が言うとセイは「そんな事ないって!」と珍しく大声を出した。でもその話はただの両思いだった、という事じゃないか。
「よかったな、セイ!」
「ありがと」
恥かしそうに、嬉しそうに、セイが笑う。その頬は赤く染まっている。
「あ、あの、リョウ…」
セイの赤らめていた頬が、元に戻る。そして、セイが俺の方を真面目すぎる顔をして見る。
「あ?」
「リョウ、本当は………」
小さく、セイの口が開かれる。
「カヤシマのこと、好きだったんじゃないの?」
セイの眉がいびつな形に歪んだ。眉間に小さな皺が入っている。
「カヤシマ?」
俺が尋ねると、セイは頷いた。嫌に真剣なその顔は、何故か笑えそうなものだった。きっと本人に言ったら、不機嫌な顔をするか、泣くかのどちらかだろう。
「いやいや、そんなことねぇよ」
「で、でも、リョウいつも、カヤシマのこと見てたし…」
「あー?」
確かに、カヤシマのことを見ていたかもしれない。まあ、席も近いし、視界にはよく入った。
「だって、お前がカヤシマカヤシマって言うからどんな奴かは気になったし」
「本当に?」
「当たり前だろ!俺がお前にいつ嘘ついた?」
「いつも」
セイは口を一文字に閉じて、鼻で大きく息を吐いた。そういう仕草はどちらかと言うと、男らしくはないと思う。コレが彼女持ちになった男の有り様か?
「そんなに嘘ついてる、俺?」
「うん。わりと」
「まあでも今回は安心しろ、嘘じゃねえよ」
俺が言うと、セイが何故か泣きそうな顔をした。だから、もうちょっと男らしくならないと彼女も悲しむぞ?
「う、うん」
「ほら、お前、彼女が待ってんじゃねぇの?」
「え?!」
「だって、カヤシマって図書係だろ?もうちょっとしたら終わるぜ」
セイの右手首についている腕時計を指さす。カヤシマが図書係なのは教室に掲示している係りの表を見て知った。あと、カヤシマが部活に入っていないのは知り合いに聞いた。
「あっ!?」
セイは時計に顔を近づけて時間を確認した。あと少しで、図書室は閉まってカヤシマも帰ってしまうだろう。
「カヤシマと帰るって言ったんだろ?」
「う、うん!ありがとう、リョウ!」
そして、セイは満面の、幸せそうな笑みを浮べて叫んだ。恋人ができると人は変わるというが、セイもすごく変わったと思う。セイはバタバタ走って、俺の前から去った。
セイの走る音が聞こえなくなったのを確認して、俺はため息をついた。
「…失恋か」
まさか、こんな形で失恋をするなんて。そう思いながら、もう一度ため息をつく。体からなんだか全てが出て行きそうな感じがする。それなら楽かもしれない。
それから上を向いて、俺は自分の涙腺が壊れていることに気付いた。眼の端から、涙が落ちてゆくのを頬で感じた。そして、手に落ちた冷たい雫でそれが現実だとわかる。
こんな思いをするなら、先に言っていたほうが楽だったかもしれない。けれど、そうしたら、俺はきっと嫌われてしまうだろうから。大切な物を失ってしまうだろうから。そして、俺は目を擦る。
「好きだよ」
もう言えもしない思いを、誰に言うでもなく呟いた。
「セイ」
PR
この記事にコメントする