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「ねぇ」
「諦めろ」
伊作が余計な事を言う前に、さっさと希望を断ち切った方がいい。それはこいつと長い付き合いをした結果である。不運がうつってそうで怖い。
「三段アイスぐらい、いいじゃない」
「落とすだろ。確実に」
「大丈夫だって、カップにするから」
まあ、カップなら。そんなわけで店に入ると
「あっ、いさっくんにトメ!」
「あぁ?」
まるで接客のなってない店員二人。微妙に似合うピンクのエプロンをつけた小平太と、素晴らしいぐらいピンクのエプロンが似合わない文次郎がディスプレイされているアイスの向こう側に立っていた。
「文次郎に、小平太? どうしたの」
「見ればわかるだろう、バイトだ」
まあそりゃそうだろう。文次郎がわかりやすいぐらい不機嫌な顔をして、ため息をついた。そんな顔で、接客ができるか。
「あ、もしかしていさっくん、トリプルチャレンジ?」
「ああ、うん。注文、いいかな?」
「おう!」
まだ文次郎よりは小平太のほうが接客できるらしい。
「うーん、じゃあこのチョコとストロベリー。あと、バニラで」
「ほいほい。あ、じゃあコーンだな」
え? と確認する間もなく小平太は伊作の注文したアイスをぽんぽんと(しかもラージサイズで)コーンに乗せた。
「……あー」
「やっちまったな。で、お前はどうするんだ」
俺がぼんやりと伊作と小平太の様子を見ていたら、文次郎が声をかけてきた。
「どうする、って」
「冷やかしなら帰れ」
「……もうちょっと言い方あるだろ」
まあ、注文するつもりだったけれど。
「あずきとー、きなこに抹茶。カップな」
「お前の趣味と俺の趣味が地味に被ってるのがムカつく」
「勝手にムカつくな」
とか言ってる間にも文次郎はカップにアイスを入れていた。そしてアイスが俺の手元に渡ろうとしたそのとき、
「うあっ」
嫌な予感。ぼとっ、という鈍い落下音。
「いさっくん……」
「あ、あはは……」
困ったような笑みを浮かべる伊作。申し訳なさそうな顔をする小平太。そして床に落ちた色とりどりのアイス。
「ごめん、いさっくん! お詫びにもう一個注文…」
「いいよ小平太。落としたおれが悪いんだから」
気にしないで、と言って伊作は鞄からティッシュを取り出してアイスを拾い始める。小平太も伊作と共にアイスを片付け始めた。
「……文次郎」
「何だ?」
*
店の前で待っていた伊作は少し寂しそうな顔をしていた。
「代金、返して貰ってないのか?」
「うん。落としたの、こっちだし」
あんなに食べたがっていたのに。寂しそうな顔で俺の方を見ず、店前の幟を見ている。
「俺の分、食べるか」
「いいよ。留さんの好きなの、あんまり好きじゃないし」
軽く俺のアイスの趣味を否定された気がする。
「ほら」
と、伊作にキッズサイズのカップを渡す。伊作が、きょとんとした顔でアイスを受け取る。
「……え?」
「いちごみるく。それで満足だろ」
これでようやく俺もゆっくりアイスを食べれる。伊作はスプーン片手にぼんやりといちごみるくアイスを見つめている。
「早くアイス食えよ。溶けるぞ」
「ああ、うん」
「三段じゃなくて悪いな。さすがに、三段買う余裕はなかったからな」
「……う、うん」
ありがとう。伊作が小さくこぼすように言って、アイスを口に入れた。
三段重ねの魅力!
(なんかもう三段じゃなくてもいいや)(うん?)(だって留さんがわざわざ買ってくれたし)(……まあ、な)
「諦めろ」
伊作が余計な事を言う前に、さっさと希望を断ち切った方がいい。それはこいつと長い付き合いをした結果である。不運がうつってそうで怖い。
「三段アイスぐらい、いいじゃない」
「落とすだろ。確実に」
「大丈夫だって、カップにするから」
まあ、カップなら。そんなわけで店に入ると
「あっ、いさっくんにトメ!」
「あぁ?」
まるで接客のなってない店員二人。微妙に似合うピンクのエプロンをつけた小平太と、素晴らしいぐらいピンクのエプロンが似合わない文次郎がディスプレイされているアイスの向こう側に立っていた。
「文次郎に、小平太? どうしたの」
「見ればわかるだろう、バイトだ」
まあそりゃそうだろう。文次郎がわかりやすいぐらい不機嫌な顔をして、ため息をついた。そんな顔で、接客ができるか。
「あ、もしかしていさっくん、トリプルチャレンジ?」
「ああ、うん。注文、いいかな?」
「おう!」
まだ文次郎よりは小平太のほうが接客できるらしい。
「うーん、じゃあこのチョコとストロベリー。あと、バニラで」
「ほいほい。あ、じゃあコーンだな」
え? と確認する間もなく小平太は伊作の注文したアイスをぽんぽんと(しかもラージサイズで)コーンに乗せた。
「……あー」
「やっちまったな。で、お前はどうするんだ」
俺がぼんやりと伊作と小平太の様子を見ていたら、文次郎が声をかけてきた。
「どうする、って」
「冷やかしなら帰れ」
「……もうちょっと言い方あるだろ」
まあ、注文するつもりだったけれど。
「あずきとー、きなこに抹茶。カップな」
「お前の趣味と俺の趣味が地味に被ってるのがムカつく」
「勝手にムカつくな」
とか言ってる間にも文次郎はカップにアイスを入れていた。そしてアイスが俺の手元に渡ろうとしたそのとき、
「うあっ」
嫌な予感。ぼとっ、という鈍い落下音。
「いさっくん……」
「あ、あはは……」
困ったような笑みを浮かべる伊作。申し訳なさそうな顔をする小平太。そして床に落ちた色とりどりのアイス。
「ごめん、いさっくん! お詫びにもう一個注文…」
「いいよ小平太。落としたおれが悪いんだから」
気にしないで、と言って伊作は鞄からティッシュを取り出してアイスを拾い始める。小平太も伊作と共にアイスを片付け始めた。
「……文次郎」
「何だ?」
*
店の前で待っていた伊作は少し寂しそうな顔をしていた。
「代金、返して貰ってないのか?」
「うん。落としたの、こっちだし」
あんなに食べたがっていたのに。寂しそうな顔で俺の方を見ず、店前の幟を見ている。
「俺の分、食べるか」
「いいよ。留さんの好きなの、あんまり好きじゃないし」
軽く俺のアイスの趣味を否定された気がする。
「ほら」
と、伊作にキッズサイズのカップを渡す。伊作が、きょとんとした顔でアイスを受け取る。
「……え?」
「いちごみるく。それで満足だろ」
これでようやく俺もゆっくりアイスを食べれる。伊作はスプーン片手にぼんやりといちごみるくアイスを見つめている。
「早くアイス食えよ。溶けるぞ」
「ああ、うん」
「三段じゃなくて悪いな。さすがに、三段買う余裕はなかったからな」
「……う、うん」
ありがとう。伊作が小さくこぼすように言って、アイスを口に入れた。
三段重ねの魅力!
(なんかもう三段じゃなくてもいいや)(うん?)(だって留さんがわざわざ買ってくれたし)(……まあ、な)
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