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怪しげな創作メモ的な。版権・オリジナル、何でもあり。 このブログを見た後や同窓で公式サイトを見るのはご遠慮ください。
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もっとやれと言われたらやりたくなるのが私です。
しかしおっかーいいよね、おっかー。あとあにゃも好きだぉだぉ。あにゃしんも好きです。
新*人楽しみにしてますノシ

ではボカロ女子高生マスター物語、彼女が彼と出会うまでの物語でも。

 誰がボカロなんかにはまるもんか。
 女子高生はパソコンの前で小さな誓いを立てた。彼女の言うボカロというのは彼女がいつも見ている「ニコニコ動画」で話題の「VOCALOID」である。彼女が知っているボカロの知識というのは「歌を歌ってくれるソフト」程度だった。確かに歌はいいかもしれないけれど、何故みんながみんなそんなにはまるのか?と思っていた。
「でもなあ…」
 彼女がいつも行っているサイトがとうとうボカロもジャンル入りしてしまったのだ。そのサイトのメインは彼女が好きなWJのとある漫画だったのだが、このごろブログでボカロという単語が増えていた。そして、とうとうボカロもトップページに現れるようになったのだ。別に彼女はそれを否定するわけではないが、何か彼女の中にプライドと言うものがあって、それが「ボカロに手を出さない」と言うものであった。
「うう…クオリティ高いなあ。でも、手は出しません」
 そう言って、彼女はそのサイトから戻って別のWJサイトへ行く。

「萌えー!!!なんだこの子!!萌えええ!!!」
 女子高生はパソコンの前で絶叫した。ちょうど家には誰もいないときだったので、彼女は叫び放題だった。
「はぁはぁ……まずい、この可愛さ、半端ねぇ…萌える……!!」
 頬を赤らめながらパソコンの画面を見つめる。その表情は普段学校で見せるものとは一味……いや二味も三味も違うような濃い顔をしている。
「はぁー…いけんな、この人マジ神だ…。手書きのくせにクオリティ高いなぁ!!」
 と彼女が見ている動画はとあるゲームのものらしい。そして、女子高生は動画終了後に表示されるお勧め動画を見る。その中に彼女が大プッシュしているキャラクターの動画を発見した。
「おっほー!!!キタコレ!!!」
 そんな奇声を上げながら、彼女は動画をクリックする。そして、聞きなれない音楽が鳴り始める。何の歌だろう、と女子高生が聞くとやはり聞いたことのない男性の歌声がした。
「……あ」
 なんか、いい声だなあ。と思っていると、画面上に流れてくるコメントの中にある文字を女子高生は見つけた。
『KAITOGJ』
「…KAITO?」
 どこかで聞いたことのある名前だ、女子高生は動画をぼんやりと見ながらその声を聞いていた。そして、動画は終わりいつものようにお勧め動画一覧が現れる。
「ぼっ…?!」
 そこにはボカロ、ボーカロイド、といった言葉があった。サムネには青い髪の青年が映っている。これがKAITOと言う奴なのだろうか。女子高生はそう思いながらマウスポインタを青年の画像の上に置く。
 彼女は先ほどの声を思い出す。透き通ったような、優しい声。今まで様々な声優のキャラクターソングやらを聞いてきた彼女だったが、そのKAITOの声はそれとは何か違うと感じていた。そして、彼女は動画をクリック。
「……かっ、」
 口を押さえて、彼女は動画を見る。この動作は、彼女が激しく萌えているときのものである。顔が一気に赤く染まり、瞳がうるうると震えている。そして、叫ぶ。
「かぁぁぁぁあいいいいいいいいいい!!!!」
 ちなみにその登録タグには『ドSホイホイ』と書かれていた。彼女はどうやらSらしい。
「なんじゃこりゃぁ?!ままま、マジで超かわいいなああ!!!!」
 そして彼女はきゃあ!と叫んで画面から目をそらす。動画は終わったらしく、彼女はとうとう検索ワードに「KAITO」の文字を入れてしまった。

 それから半年の間、彼女はニコニコ動画でKAITOを聞き続けた。気が付けば、携帯のミュージックフォルダにもKAITOの歌声が入っている。通学中はいつもKAITOの歌声を聞いて、爽やかな朝を過ごしているのだ。
「いや、ミクもリンレンも姉さんもいいけど、KAITOってかわいいよね」
 彼女は仲のいい(オンライン上の)友人にそう言った。
「いつかね、歌ってもらいたいな」
 誰でもない、私のために。彼女はKAITOの歌を聞くたびにその思いは強くなっていた。彼女には音楽の知識があった。ピアノを現在も習っていることと学校の芸術選択も音楽をとっていることからいつかKAITOに歌手貰いたいという思いが強くなってきたのだ。
「……高い」
 しかしそこには大きな壁がある。歌ってもらうにはソフトを買わなければいけないのだが、そのソフトが女子高生にとっては価格が高い。
「ありえない」
 じっとアマゾンの購入画面を見つめる。そして、彼女は自分の手持ちの貯金がいくらあるかを思い出した。そうだ、手持ちの貯金はあるんだ。
「でも、」
 それを使ったら、彼女の魂であるWJの昔の漫画の完全版を全巻買うことが出来なくなる。地道に地道にお年玉とお小遣いを貯めた結果である。
 彼女は悩んだ。それはもう、テストであと少しで答えがわかるのだが答えが出てこない、という状態以上に彼女は悩んだ。テスト以上に悩み、模試以上に悩み、もしかしたら高校入試以上に悩んだかもしれない。いや、悩んでいないと思う。
 そんな事を考えながら、彼女は決断した。
「よし」
 そして、彼女はアマゾンの購入ボタンを押した。


 それから、彼女のもとにKAITOがやってきた。
「はじめまして、マスター」
 にこりと微笑む青少年に、彼女は顔面蒼白になった。「あれ、どうしたんですか? マスター」とKAITOは声をかける。
「何故、人…?」
「え?」
「本当に、本当の本当の本物のKAITOなの? あんた」
 女子高生の言葉にきょとんとした顔をして、けれどすぐに微笑んだ。
「はい、僕はVOCALOID、KAITOです」
 ああ、なんて爽やかな透き通った声なのよ。彼女はそう思い、KAITOを見る。にこにこと人懐っこい笑顔を浮べる彼は子犬のように見える。やはりその声は画面の向こうでいつも聞いていたKAITOの声そのものだった。
 これならもしかして完全版を全巻買っていたほうが家族にばれなかったかもしれない、と彼女は思った。彼女は自宅でも学校でもパソコンの前でニコニコしている様子を見せない、ごくごく普通の明るい女子高生キャラが定着しているのだ。だからこそ、そんなニコ中だったりオタクチックな部分だったりを隠したいのだ。
「…マスター?」
 心配げな顔をする、目の前の青年に女子高生の胸が高鳴った。何だかんだ言っても彼女は普通の女子高生なのだ。そういうちょっとしたロマンスにはどうしても弱いのだ。
「えっ!?」
「顔色、悪いです……あ! そうだ」
 ぱあっと明るい顔をして、KAITOは言った。
「アイス食べれば、元気になりますよ」
 きらきらと輝く笑顔を浮べるKAITOを見て、女子高生は頬を赤らめて口を押さえた。これは恋愛感情ではない、と彼女が一番わかっていた。萌える、激しく萌える、テラモユルス、と彼女の脳内コメントは目の前のKAITOに弾幕をかけている。そして落ち着いて、彼女は脳内コメントをオフにする。KAITOの笑顔が、クリアに見える。
「そうね。じゃあ、KAITOがきたお祝いアイスとでもしようか」
 女子高生も落ち着いた笑顔を浮べてKAITOに言う。

「ようこそ、KAITO。これからよろしくね!」
「こちらこそ、よろしくおねがいします、マスター!」


 ちなみに、彼女の出費は漫画の完全版全巻ならそれで終わるのだがKAITOの場合はアイス出費のおかげで高くついたのは言うまでもない。
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