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怪しげな創作メモ的な。版権・オリジナル、何でもあり。 このブログを見た後や同窓で公式サイトを見るのはご遠慮ください。
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スランプだ……!
何ていうか、軽くスランプ入った。文字書いても詰まる! 言葉が思いつかない!
頑張って、何か書きたい。

とりあえず、根暗な話を書こうか。スランプの時は、何か根暗なことを書くとすっきりする、かも。
で、根暗といえば浦? あえてのエル王? うーん、オリジナル…。
よし、エル王の昔書こうと思って挫折した話にしよう。

 それが、思考の故障だった。

「…は? 俺が、病気?」
 目の前にいる、俺の友人、王は頷いた。学校を卒業して、久しぶりに出会ったのがまさかの検診。しかも王は医者になっていた。昔から、医療に関係する仕事に就いて人の役に立ちたいとは言っていたけれど、本当になるとは思わなかった。
「あのさ、王。病気って、俺たちがなるもんじゃなくね? 俺たち、機械だし」
「機械の病気、簡単にいえばウィルスやバグです。貴方の場合、バグが大きな原因のようですよ」
「ば、ぐ」
 王の説明によると、俺たちの機種には致命的なエラーが発生する場合があるらしい。しかし、そのエラーは俺たちが学生時代の時、既に発見されていて学校で修正プログラムを施していた。そういえば、いつかの授業の時にされたあれかなーとか俺は思っていた。しかし、その修正プログラムの隙間からたまに、そのエラーが発生するかもしれないというのだ。
「で、今回の検診で見つかったんだ。俺のバグ」
「ええ。よかったですよ、早期発見は早期治療につながりますから」
「へー…で、それって具体的にどんなエラーなんだよ」
 俺が尋ねると、王は驚いたような顔をした。ぱちぱち瞬きをして、俺を見つめる。
「なんだよ」
「い、いえ。何か、前兆とか感じませんでしたか? どんなことでもいいです」
「へ?」
 前兆ってなんだよ。別に体調悪かったことはないし。バイト先でもおかしなことはなかった。えー? 異変ー? 俺、何にもおかしい事ないよ?
「どんなことって言ったってよ、俺は何にも変化ないよ」
「です、か」
 そして、王は自分が持っている紙を見つめた。どうやら、俺のカルテらしい。
「前兆って何?」
「いえ、きっとエラー発見装置が高度なものになったんですね。今までは、異変があってから初めて気付いたものばかりでしたから」
「なるほど」
「それでは、入院についての説明、よろしいですか?」
「ふえーい」
 入院か、ちょっとやだなー。バイトできないじゃん。あ、でも可愛い看護師とかいるのかな? それに、王もいるし。王も、いるし。
 王が、いるから。


 おかしいと、キッドに言われたことがあった。
「お前、バカだろ」
「何で」
「絶対おかしい。普通ありえない」
「恋のどこがおかしいんだ」
 キッドが眉間に皺を寄せ俺を見つめる。そんなキッドは彼女がいる。可愛い可愛い金髪の、赤いリボンをつけた、俺たちの友達の妹と恋をしている。
「同性に恋なんてするか」
「何でだよ」
 確かに、変かもしれない。けれど、学校を卒業してから王に会えなくて俺は苦しかった。何でか知らないけれど、俺は王に会いたかった。
「王は今ごろ、医療学校に行ってるだろ。まあ、首席で卒業しそうだけど」
「うん、だな」
 その姿は容易に想像できる。一番最初に名前を呼ばれて、堂々と立って、歩いて、卒業証書だか何だかを受け取る。深く礼をして、小さく笑う王。
「お前、何考えてる?」
 突然、キッドが俺の顔を覗き込むように見て尋ねる。突然のことに少し驚いてしまった。それを見てキッドが呆れた顔をする。「どうせ、王のことだろ」
「それの何が悪い」
「お前さ、本当に落ち着いて考えてみろって。王は男だぞ。お前も男だ。何より、俺たちは機械だ」
「そんな事を言ったら、お前らも一緒だろ」
 彼女の表情の変化に一喜一憂したり、明日のデートの場所を楽しみに考えたり、次に会う時の洋服を考えたり、それは恋愛感情による作用ではないのか。
「残念だけど、お前みたいなプログラムは出来ていない」
 俺たちは人とともに暮らすために、人に近いプログラムをされている。感情も、意思も俺たちみたいな機械にもある。もちろん、それは恋愛感情だって同じだ。だから、俺たちは恋だってできる。キッドみたいに、誰かを愛しいと思ってもおかしくない。
「俺には、同性を愛しく思うプログラムはないんだよ」
 それは、恋愛感情の一つだから。


「やけに嬉しそうですね、エル」
 病室のベッドで横になっていると、白衣を着て眼鏡をかけた王がやってきた。そうすると、本当に医者みたいに見える。いや、本当の医者なんだけどな。
「あれ、お前…目、悪かったっけ?」
「ええ。ちょっと、視力落ちてしまいまして」
 どうやら、記憶メモリの使用容量が増えた為、視力機能をセーブすることになってしまったらしい。そこまでよく勉強するな、と思う。俺なんかメモリ容量がら空きだから、体なんてピンピンしてるぞ。
「どうしたんですか、本当に嬉しそうな顔をして」
「そんなに俺、嬉しそう?」
「ええ。なんだか、幸せそうです。病気だって言うのに」
 小さく、笑いながら王がため息をつく。こんなに楽しそうな入院患者なんてそんなにいない。何でだろうな、と思う。自分でも、何でこんなに楽しい気持ちになっているのかよくわからなかった。けれど、何となくわかっていた。
「こんな風に話すの、久しぶりじゃねぇか」
「え?」
「学校出てから俺たち、連絡とってないだろ? お前、連絡先教えてくれなかったし」
「あ…すみません。どうしても、勉強に専念したくて……私が立派な医師なったら、絶対にみんなに教えるつもりでした」
「なんだよ、俺たち親友じゃねぇか。勉強に専念したいって言うなら手伝ってやるよ」

俺たち シンユウ じゃ ねぇか

俺 たち シンユウ じゃ ねぇ か

オ レ タ チ シンユウ ジ ャ ネ ェ カ 


「……エル?」
 ベッドに起き上がっていた彼が、突然言葉を失った。おかしい、いきなりどうしたんだ。瞬きもせず、私の姿をじっと見つめている。
「エル、どうかしたんですか?」
「……王」
 彼の唇が小さく動く。先ほどまでの陽気な声ではなく、擦れた老人のような声で、私の名を呼んだ。
「俺、嫌だ……」
「え?」
「シンユウじゃ、嫌だ……」
 そう言った瞬間、彼は私の手を奪った。彼の手は、何故か異常に冷たい。そして、私の手を強く握って、彼は言った。
「好きだ」
「何を…」
「俺は、お前が好きだ」
 彼の目から光が失われているように見えた。それは、私の視力機能が異常を起こしているせいなのだろうか。それとも、本当に…………
「何を、言っているですか」
「ずっとずっと好きだった。俺、お前のことが好きだ。学生時代から、お前のことが離れなかった。卒業して、お前に会えなくて苦しかった。やっと会えて本当に嬉しかった」
「落ち着いてください、エル、何を言っているんですか」
「本当に、好きなんだ。シンユウじゃ嫌だ。俺、俺、お前が好き」
 声が震えている。目から、涙が――オイルが流れている。エルが危険な状態にあるのはすぐにわかった。このままにしたら、彼は確実に、
「エル、エル!? 私の声が聞こえますか!?」
「王、王……俺は、好きなんだ」
「エル!! 私のことを見てください! 私の声を聞いてください!!」
「王……俺、お前が好きなんだ。本当に、好きなんだ。誰よりも、お前が好きなんだ」
 そう言った瞬間、私の手から、痛みが引いた。


 彼の死は、メモリの大幅損傷と身体プログラムの『深刻なエラー』によって決定された。メモリが損傷したことによって、彼はもう彼として――エル・マタドーラとして生きることができないことになった。
「本当に、あいつ死んだのか」
 私たちのような機械にも、墓を作る時代になっていた。今までは機械の死、つまり故障になったら即廃棄処分となっていたのだが、機械にも感情を持たせることによって墓を作るようになったのだ。
「ええ、死んでしまいました。私の、力不足です」
 私と同じように墓の前に立つキッドが、「そうか」と小さく呟いた。彼の横顔はとても悲しいものに見える。
 まさか、こんな形で友と再会するなんて。私は、学生時代の親友たちと久しぶりに会い、事情を説明した。彼の死を、医師としての私が説明した。
「お前、知ってたか?」
「え?」
「エル、お前のことが好きだったんだって」
「……ええ」
 最期の彼の言葉が、私への愛だったなんて。私はそれを誰にも言わなかった。
「彼が、言っていたんですか?」
「ああ。マジな顔して俺に相談してきた。最初はギャグか何かかと思ったけど、あいつ本気だった」
 何も、言えない。
「本気、だったんですか?」
「今まであいつがあんなマジな顔したのは見たことなかった。本気じゃなかったら、キレるけどな」
 彼のその感情こそ、
「前兆だったんですよ」
「…え?」
「彼の死に繋がった、『深刻なエラー』の前兆だったんです」
「………」
「私が、もし、彼の気持ちに気付いたら」
 もっと苦しまなかったかもしれない。もっと知ることができたかもしれない。
「私は、彼を苦しませてしまった………!」
 私の目から、オイルが落ちた。





:あとがき:
なーんでこんなに長くなっちまったんだ。謎すぎる。
ちなみに前に挫折したのは最後の墓場シーンからスタートするエル王でした。
うん、一応あのシーンを消化できたので満足です。っていうかやっぱり暗い。死んじゃった!
しかも『深刻なエラー』って………どんなボカロ\(^o^)/
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えるぅーっ!!!!!
泣けちゃうぉー。・゚・(ノД`)・゚・。


自分が王だったら…
エルだったら…
とか考えちゃうから余計切ないっ!!!
しかもオイルって所が「あぁ…人間にはなれないんだな」って感じでまた切ない!!!

でも好きだっ!!
ありがとう!!(`・ω・´)b
U4 2008/08/21(Thu)17:28:50 編集
王ぅぅぅぅぅーー!!
泣けたか! まじか!
とりあえず、泣いてくれてありがとうだおだお

確かに自分がどっちかの位置にいても辛いよなあ……
結局出てきた3人とも辛いわけだし、うん
オイルはマジでボカロネタですごめんなさい←
ただ、人とは違うんだよ要素を出したかった結果です。
今更ながらボカロネタにすればよかったと思う\(^O^)/

毎回読んでくれてありがとう! 私も大好きですっ!!
【2008/08/22 12:24】
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